日本画家 近藤幸夫 「真理への探求」

2014年ロシア「ZooArt国際動物美術展」・「自然の響きー近藤幸夫日本画展」
レポート

2014年9月、ロシア連邦サンクトペテルブルク市で2つの展覧会が開催され、期間中に行なった日本画マスタークラス(日本画の解説と日本画を描く実習)の様子とともに報告します。

◆「ZooArt国際動物美術展」

  2014年ロシア「ZooArt国際動物美術展」・「自然の響きー近藤幸夫日本画展」レポート

会期 2014年9月6日~9月20日
会場 国立サンクトペテルブルク市彫刻美術館
主催 ロシア政府・国際動物保護協会

日本からの特別招待作家として4点の日本画を出品し 彫刻美術館で日本画マスタークラスを行ないました。 政府関係者が出席するオープニング・レセプションで 大澤暁日本国総領事館主席領事より、私のロシアでの 美術活動について紹介して頂きました。動物と自然の 保護を目的としたこの国際展は私の制作テーマである 「自然への畏敬」と共通する理念があります。 国境を越え参加した芸術家たちが同じ価値観と目的を 共有することに大きな力を感じました。 展覧会で出会った人々、私を招待してくれた主催者の 方々、展覧会の企画すべてを手配してくれた学芸員の マリーナ・クラシニコバさんに心から感謝します。

◆「自然の響き 近藤幸夫日本画展」

会期 2014年9月7日~9月27日 
会場 ボーリン・アートギャラリー
協力 ロシア・インターナショナルアカデミー・オブ・アート

エルミタージュ美術館へ続く通りに面した美しいギャラリーで、私にとってロシアで初めての個展を 3週間にわたり開催して頂きました。 期間中に作品を一部入れ替え、日本画、写生画、リトグラフ、総数41点を展示しました。 日本国総領事の山村嘉宏氏がオープニング・レセプションに出席され、私の作品と制作活動について お話して頂きました。 メディアの報道や様々な条件が功を奏し、多くの来場者に恵まれました。さらに、マスタークラスや 美術大学の学生たちとのミーティングなど、大変な準備と配慮をして頂いたボーリン ギャラリーの キセーニア・クバトヴァさんをはじめ、スタッフの方たちの協力により、特別な展覧会になりました。

◆ 日本画マスタークラス  2014年9月17日

国立芸術アカデミー付属イオガンソン記念芸術学校の14歳、17歳クラスの生徒が参加しました。 生徒の真剣な眼差しと活気が教室中に広がり、生徒が熱心に描いた作品からは平和や自然への思いが 伝わって来ました。

◆ 日本画マスタークラス  2014年9月19日

国立サンクトペテルブルク芸術産業大学で、グラフィック (紙支持体) 専攻の学生が参加しました。 副学長と教授の方たちも聴講され、日本画と伝統文化への理解を深めてもらうことができました。

後記

2年前、写真家の福田俊司氏に誘われ、ロシア、サンクトペテルブルク市のスモーリィヌイ大聖堂で 展覧会を行なって以来、私を支援してくれているインターナショナルアカデミー・オブ・アート学長スルタン アバエフ氏とご家族、友人に深く感謝します。ロシアでのすべてのことが彼らの協力なく実現することは できませんでした。

国際的写真家であり、友人のリップ・グリフィン氏が撮ってくれた写真を彼の厚意により掲載しました。 ロシアで出会った人たちと築くことができた絆と友情は、私の人生にとり掛け替えのないものになりました。 また、ロシアを代表する巨匠で、敬愛する画家、スウェイボラッド・ミハイロビッチ・ペトロフ・マスラコフ氏が 来観し、この道を進み続けるようにと言葉を頂いたことは、画家としてこの上ない名誉と喜びでした。

来年の3月から5月にかけて約2ヶ月間に亘り、サンクトペテルブルクで開催する個展の依頼があり、 以前から構想していた視覚障害の方たちに日本画の作品に触れ鑑賞してもらう機会が、ロシア政府と 共同の企画として実現しそうです。

日本画の新たな可能性を求め、これからも制作活動を続けていきたいと思います。

2014年11月  近 藤 幸 夫